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特例民法法人の共済事業(2)
―制度共済への移行―

特例民法法人が一般法人への移行後において共済事業を継続しようとする場合、保険業法に基づき必要な事業形態を構築するのが一般的な選択であるだろう。しかし、もう一つの選択肢として、制度共済への移行についても検討しておくことは十分意味があることだ。
制度共済として考えられる現実的な選択肢は、中小企業等協同組合法(中協法)に基づくケースと、消費生活協同組合法(生協法)に基づくケースである。共済事業を営む特例民法法人にとっては、現行の共済事業を分離し、共済の契約者には新たに作った組合の組合員になってもらって共済事業を継続するというパターンが想定される。中協法に基づく場合も生協法に基づく場合もともに、組合員に対する共済契約の提供を基本スキームとする必要があるために、現状からの移行にあたって一工夫を要するポイントである。このポイントさえクリアできれば、商品性の制約などは殆どないことから、保険業法に基づく少額短期保険への移行のケースなどとは比較にならないくらい自由度の高い移行であると言えるだろう。
中協法にするか生協法にするかは、現在の共済契約の契約者(掛金の負担者)が事業主であるか個人であるかによって分かれると考えれば良い。現在、事業主相手に共済契約を締結し、その事業主もしくは従業員等に対して給付を行っているのなら、中協法に基づき事業協同組合を作って共済事業を継続する方法を検討することになる。また、一定の地域や職域の個人を対象に共済を行っているのなら生協法に基づき消費生活協同組合を作れば良いのだ。出資金についての最低限度額や、組合員以外の利用についての制限など、それぞれの法律に特有の規制はあるものの、工夫次第で十分実現可能性はある。筆者も、ある大規模な特例民法法人が運営する労災上乗せ共済事業に関し、中協法に基づく移行のフィージビリティスタディ(実行可能性検証)を行ったことがあるが、その検証過程でいくつかクリアすべきポイントは明らかになったものの、いずれも移行可能性に支障を来すほどの問題ではなく、中協法による制度共済への移行は十分可能であるとの結論を得た。そしてその検証結果に対して当該団体からは高い評価を頂いたのである。
特例民法法人の制度共済への移行にあたり、制度構築面とは別に考えておかなければならないもう一つの大きなポイントは、やはり移行時の課税問題である。従来、公益法人等として税制上の優遇措置を受けてきた団体の財産を分離して共済事業を行う組合に移行するのだから、分離・移行時に課税関係が生まれるのは当然のことだ。移行すべき財産のうち、共済関係の負債としての責任準備金や支払備金に関しどこまでが無税でどこからが有税になるのか、不明確な事柄も存在する。これまで非課税の公益法人等としての運営を許されてきた共済事業に対して、保険会社税制・共済組合税制をそのまま適用しようとしても、そこで用いられている道具も概念も違うのだから簡単に切り分けできるものでないのは明らかだ。また、共済事業を分離して運営する以上、一定水準以上の支払余力比率確保など健全性の面で疎かにできぬポイントが存在する。こうした中で、税務上の不利益を招かないために、既存の共済組合等税制を踏まえつつ税務当局と折衝することが必要になるのだろう。
制度共済への移行に関しては、はじめから可能性を除外してしまい検討すら行っていない団体も少なくないと思われるので、この機会にご一考されることをお勧めしたい。
 
 

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