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認可特定保険業者となるために

本日の参議院本会議で、「保険業法の一部を改正する法律の一部を改正する法律」が可決され、懸案だった認可特定保険業者制度の導入が確定した。近日中に官報による公布が行われ、その後6カ月以内に法律が施行される。また、施行日までには関係8省庁による共同省令と、金融庁が中心となって定めるガイドラインが公表され、制度の詳細が明らかになる。
この法律は、平成17年の保険業法改正時に特定保険業を行っていた団体が、主務官庁の認可を受けて、当分の間、引き続き特定保険業を行うことができるものとする制度だ。申請者は、公益法人制度改革の「整備法」に基づく一般法人認可を受けた一般社団法人または一般財団法人であることが要件とされており、特例民法法人からの申請が多いものと推測されるが、平成17年当時の特定保険業者で少額短期保険業登録を取りやめた任意団体などにも事業復活の道が開かれた。この制度に基づく認可を受けようとする場合、「整備法」の認可期日と同じく平成25年11月末までの申請が必要だ。なお、一般法人認可の前であっても保険業法の認可特定保険業者の申請を行うことは可能となっている。その場合には一般法人としての登記の日に、認可特定保険業者としての効力が発生することとなる。
 
金融庁によると特定保険業を営む特例民法法人は全部で329団体あるとのことである。このうち、認可特定保険業者の申請を行うことを意図している特例民法法人がどの程度なのかについては知る由もないが、少なくとも法律の見直し期限である5年後までは従来と同様の共済事業を実施できることとなったため、かなり多くの団体が認可申請を行うことになるだろう。そこで、認可申請に際して留意すべきポイントについて私見を述べてみたい。
まず、認可申請書類として、①定款、②事業方法書、③普通保険約款、④保険料及び責任準備金の算出方法書、⑤H17保険業法改正時における特定保険業との同一性を証明するための書類、が必要だ。書類に記載すべき具体的な事項の詳細については、共同省令やガイドラインの中で明らかにされるが、②、③、④については、少額短期保険業登録に際し保険業法施行規則において定められた事項が参考になるだろう。具体的には、②事業方法書は、特定保険業者がその事業運営の方法を監督当局に届け出て認可を受けるという性質を有するもので、作成は必ずしも難しいものではないと思われる。しかし、事務手続きその他について明文化を求められる上、既存の内部規定等で代用することは難しいケースがほとんどであると考えられ、新規の書類作成が必要だろう。③普通保険約款は、特定保険業者と契約者との間における保険契約の約条を定めた書類である。当然のことながら既存の共済規約がその土台になるが、共同省令等で定められた必要記載事項への対応が求められるだろう。また、平成22年4月に施行された保険法への対応が済んでいないケースは、その対応を求められる可能性がある。生命保険商品でいえば、例えば、被保険者の同意を要する場合の取扱いについて、約款上に明記することが必要となる。④保険料及び責任準備金の算出方法書については、「保険料及び責任準備金の算出方法が、保険数理に基づき合理的かつ妥当なものであること」という認可基準が法律上に明記されているために、書類作成にあたり、多くの場合は専門家(アクチュアリー)の支援を受ける必要があるだろう。とりわけ、保険期間が1年を超える保険商品を取り扱っているケースは、「保険数理に基づき合理的かつ妥当」という基準に適合するためには、将来の保険金・年金・給付金等の支払予測に基づき、保険料収入では不足する金額を責任準備金として積み立てておく必要がある。そのため、認可申請用の書類作成はもとより、毎年の決算時においても保険計理人の関与は必須となる。
また、「特定保険業を的確に遂行するために必要な財産的基礎及び人的構成を有すること」という認可基準への対応が問題となるケースもあるだろう。財産的基礎については、金融庁としては、制度共済等の例を参考に純資産額についての最低基準を設ける方針のようであるが、制度共済といっても様々で、例えば中協法では出資金1000万円、生協法では出資金1億円など大きな開きがある中、どの程度の基準が定められることになるのか注目したい。人的構成については、業務精通者についての基準が設置されると考えられ、少額短期保険業者への要請基準と比べれば多少簡素化されるだろうが、何らかの形式基準が置かれることは間違いない。
このほか、少額短期保険業者に対して要請されたのと同様に、共同省令において事業計画書などが求められる可能性は十分あることにも注意が必要だ。事業計画書の一部として提出することとなる収支計画の内容やその実現可能性について、行政庁が深入りしてきた場合には認可申請に支障が出る可能性も十分考えられ、立法の趣旨に鑑みて取扱いの簡素化がなされるのかどうか、大きなポイントになってくると考えられる。
なお、認可特定保険業者の申請・認可に要する時間は、団体の個別事情および申請業務担当者の力量に大きく左右されると考えられるが、書類作成と主務官庁への申請業務とをあわせて概ね6カ月程度を見込んでおくのが良いだろう。
 
全体の認可申請のスケジュールを考えるにあたっては、認可特定保険業者としての申請のみならず、「整備法」に基づく一般法人認可申請との関係に十分配慮することが重要だ。一般法人認可の申請業務は、3~4カ月程度あれば十分であると言われているが、特定保険業を営む特例民法法人の場合は、そう簡単ではない。それは、公益目的支出計画の策定にあたって検討すべき事項が多いからだ。具体的には、一般法人移行時の課税問題への対処方針の検討や、認可特定保険業者としての業務遂行にあたり、将来にわたって財務上の健全性確保が可能か否かについて、移行時に十分検証しておくことが必要だからである。将来の収支シミュレーション等を通じて、健全性確保の面で問題があることが明らかな場合は、移行時に多少の課税を受けてでも「整備法」に定める公益目的財産額を圧縮し健全性確保のための積立金を準備しておく必要がある。一般社団法人の場合ならば、基金の増額について検討する必要があるかもしれない。
移行時に共済関係の負債計上を行うことも重要なポイントだ。退職金共済などの場合には、すでに負債としての責任準備金を計上していると思われるが、その他の共済給付についても負債計上をすることが可能である。実際、その最低基準については保険業法の共同省令等で求められることになるだろう。私としては、最低基準を超えた水準の負債計上の可能性を追求したいと考えているが、団体固有の事情に基づき個別判断が必要であることは言うまでもない。共済事業の永続性を目標とするならば、長期的な視点で財務の健全性確保が必要であり、掛金率や給付水準の見直しも視野に入れなければならない。そして、はっきりしていることは、一般法人への移行時にはあらゆる手段を駆使して公益目的財産額の圧縮をはかることが重要なのである。
移行にあたり各団体が抱える複数の課題を解決するためには、こうした検討過程を通じて団体固有の連立方程式の解を求める作業を行わなければならない。そして、その作業に要する時間を見積もるならば、12~30カ月程度の期間を想定しておくべきであると考えられる。平成23年度もしくは平成24年度中の移行を目指す団体は言うまでもなく、期限ぎりぎりの平成25年度中の移行を予定している団体においても、まずは課題の洗い出しを始めて頂きたいと思うのである。
 

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